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「乾いた掌」21

今日はお休みなので、こんな時間にUP。

これも早いところ終わらせて、次行きたくはあるんですがねぇ…。

そういえば、ブログのカテゴリをちょっと弄りました。

小説関係を作品ごとに分けましたので

ブログだけ見ている人にも、ちょっとは興味持ってもらえるといいなぁと思いつつ。

HPも弄りたいんですけどねぇ。

「タカオから、襲撃作戦の予定があると聞いているが?」
 スノウが尋ねると、ガランがスノウの後ろに控えているタカオをじろりと睨みつける。
 失敗の許されない作戦である。慎重には慎重を期さないといけないというのに、いくらスノウ相手であろうと、軽々しく個人の判断で話していい事柄ではない。
 タカオは視線を感じて恐縮したが、ガランはそのことについては何も言わず、スノウへ目を移した。
「はい、決行は収穫祭の日を予定しております。その際……」
 言い淀むガラン。スノウはその逡巡の理由にすぐ思い至ったので、苦笑いしながら口にする。
「エジュンとコロウの婚礼だろう」
「は、ご存じでしたか。そう、かなり大々的に都を練り歩くつもりのようでして。我々の動きは気になるでしょうが、王家の生き残りがいること、それを妻に迎え、自らの統治が正統であると示すのが優先と考えておるのでしょうな」
 実際、コロウの統治に対して反発を示す民は多いらしい。表だっての反抗ではないが、逆に目につく行動に出ないために取り締まりようもなく、あちこちで様々な齟齬の原因となっているのだという。
「通常、どれだけ気をつけていようが、このように市中に潜んでいれば、どこからか情報が漏れるものです。ところが、ここに腰を据えてから、どこにも情報が漏れる気配がありません。これこそが、その証左であると思われます。もしかしたら、単に泳がされているだけなのかもしれませんが……」
「おそれながら、その線は薄いと思われます。コロウが諜報の要にしていたのは、ここの者たちの組織です。奴と組織とは、すでに袂を別っているそうですので、奴の情報網はかなり弱体化しておるはずです。今奴が使える者は、ガリョウの兵と子飼いの兵だけのようですから」
 ガランの言葉へ、ドウジが冷静な分析を加える。
「で……具体的な襲撃方法は?」
「それは少しお待ちいただきたい。以前より手配していたものが、丁度今夜手に入る予定なのです。それが手元にあるのとないのとでは、まったく襲撃方法が変わりますので。それが届いてから説明させていただきたく。ひとまずは、夜までお休み下さい。部屋と食事はすぐに用意させますので」
 スノウの質問にそう答えたガランは、階下の女中を呼んだ。
 ふと視線を逸らしたスノウの目に、窓から見える空が映った。
 降り注ぐ陽光には、すでに秋の色が混ざり始めている。

           2

 真夜中。
「スノウ様、準備はよろしいでしょうか?」
「うむ」
 部屋へ迎えに来たタカオに返事をして、用意された服に袖を通していたスノウは立ち上がる。
 最初に通された部屋に行くと、すでにガランたち三人は準備を終えて待っていた。
「それでは、お話しした品の受け取りに向かいますので、立ち合いをお願いします、将軍」
「わかった。それとすまんが」
「は、なんでしょう」
「将軍はよしてくれんか。すでに無い役職だ」
「……そうですね。ではカクギョウ様で」
 いつぞやのタカオそっくりの表情で、タカオよりは察しの良さを見せたガランは頷いた。
「そう多くはありませんが、見回りに見つかると厄介です。お気をつけ下さい」
 そのほかいくつかの確認を行った後、夜闇に紛れてスノウたち五人は宿を出た。
 小一時間ほど町外れに向かって慎重に歩き、用意されていた馬に乗って郊外へ出る。
 そのまましばらくの後に辿り着いたのは、こんもりとした里山だった。
 管理用の細道を馬に乗ったまま入っていくと、やがて林の中にぽっかりと開いた広場に出る。
「約束の刻限まではまだ多少あります。大きな火は焚けずに申し訳ありませんが、少し待ちましょう」
 手灯りを地面に置き、懐から煙管を取り出したガランはおもむろに一服し始める。ドウジもそれに習うが、スノウとタカオは煙管をやらないので、少し手持ち無沙汰にまつこととなった。
「品というのはなんだ?」
 ガランが最初の一服を終えるのを待ち、スノウが尋ねる。
「かねてより、カクギョウ様が大陸から取り寄せたいと仰っていたものです。本来ならこの春先には到着するはずでしたが、先の戦による騒ぎで行方が判らなくなっていました。船は港へ入っていたのですが、積み荷の大半は行き場を失い、あちこちに流出していまして……行方を突き止めるのに苦労しました」
「あの遠当ての道具か。銃といったな?」
「は、その通りです。数を揃えなければ戦では役に立たなさそうですが、今の我らにとっては有り難い道具です。用意できるなら、それに越したことはありませんでした。この時期に見つけられたのは大変な僥倖で」
 ぽん、と煙管の火種を足下へ落として、それを踏み消しながらドウジが答える。
「また手元に届いていないうちは、予断ではありますが……」
「安心するといい。それはここにある」
 暗い林の中から、答える声があった。
 スノウは少し前から誰かが近づいてきているのに気がついていたが、ガランたちは気がついていなかったようで、皆ぎょっとした顔で腰を浮かす。
 少しの間があって姿を現したのは、人の良さそうな好々爺然とした顔の、綺麗に禿げ上がった小柄な老人だった。
「御老人、脅かさないで下さい」
 ほっと胸をなで下ろして、ガランが表情を緩める。
「別に気配を消していたわけではないが。鍛錬が足りんのではないかな? 将軍は随分前に気がついて居られたようだが」
 そう言って、老人はスノウに目を移すと、にこりと笑った。
「お久しぶりですな、将軍。ご無事だとは一足先に聞いておりましたが、お元気そうで」
「ああ、なんとか生き延びてここにいる。長老も元気そうでなによりだ」
 スノウとも面識のあるその老人は、組織の長で長老と呼ばれる人物である。歯に衣着せぬ物言いと実直そうな外見が特徴だが、その気になれば海千山千の謀略を駆使する、政治力と知力を兼ね備えた傑物であることを、スノウはよく心得ている。
「これが例のものだ。確認を」
 どこからともなく取り出したようにしか見えなかった細長い包みを、老人はガランへ無造作に突き出した。
 長さは四尺と少し。太さは、もっとも太いところでも一掴みにできる程度しかない。
「確認させていただく」
 それを受け取ったガランが、巻き付けられた紫の布を解く。
 中から姿を現したのは、黒金の細い筒と、それに繋がった木と鉄の組み合わさった本体、そして木製の握りから一際大きな部品が伸びていた。
 やや武骨な外見だったが、それの姿には、洗練された道具特有の美しさもある。
 それが、命を奪うための道具であったとしても、だ。
「使い方に関しては?」
「これが説明書だ。元のものは紛失したらしく、写しだがな。機械式のものと違って、これは単体で機能する法術式のものだそうだ。わからんところは試してみるしかなかろうが、消耗部品はこれといってないようだから、なんとかなるだろう」
 そういって、長老は懐から出した紙束をガランに渡した。
「では、確かに渡したぞ。武運を祈る」
「……訊かせてもらっていいか?」
 去りかけた長老の背中に、スノウが声をかける。
「なにか?」
「なぜ、我らに協力を?」
 ニッショウと協力関係にあったとはいえ、組織そのものの成立にニッショウは直接の関係がないし、事実上滅んだ国へ義理立てする必然性がないとスノウには感じられた。
 むしろ、新しく支配を構築しようとしているガリョウへ協力する方が、理に適っているように思われる。
 なにか裏があるのではないかとスノウは思う。もしそうであったとしても、信じるしか選択肢がないのが現状ではあるのだが。
「我らを疑っておいでかな?」
「…………」
 沈黙で答えるスノウに、長老は気を悪くした様子もなく、逆に笑みを見せた。
「当然でしょうな。私が将軍の立場でもそう思うでしょう。むしろ、そう警戒できる程度に冷静ならば、こちらとしては将軍に期待が持てるというものです」
 何度が満足そうに小さく頷いて、長老は鋭い視線をスノウへ向けた。
「コロウは己の野望のため、我らを欺き、利用しようとしました。易々とそうされるほど我らは愚かではありませんが、その報いは受けてもらわねばなりません」
 不意に見せた長老の威圧感に、スノウ以外の者たちは一瞬気圧される。
 だが次の瞬間、その威圧感は消え、代わりに笑顔が長老の顔に浮かんだ。
「それと、これは個人的なことではありますが……。私は、将軍、貴方が気に入っている。信じるか信じないかは、ご自由に。さらに加えるならば、ガリョウよりはニッショウの旧臣たちの方が協力する相手としては信用できる、そんなところです。我らとしては、情報提供程度で、さほど労力や危険を担っているわけではありませんしな」
 そう言って、長老は呵々と笑う。
 釣られて笑顔を浮かべかけたスノウは、それを引っ込め、さらに尋ねた。
「もう一つ、知っていたら教えてもらいたい」
「私の知っていることなら」
「俺の子が、どうなったか知らんか?」
 細かい説明をせずとも、それだけで長老には十分通じる。だが、その首は横に振られた。
「申し訳ありませんな。あまり重要とも思えなかったので、あまり詳しくは知りません。少なくとも、月足らずで生まれたり、流れたりはしなかったようですが」
「そうか……。それだけでも知れればいい。感謝する」
「いいえ。なにかそれに関して判ったらお知らせしましょう。それでは失礼」
 そう言い残して、長老は夜闇に消えていった。
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