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「乾いた掌」20

ちょい少なめですが、キリのよいところで一旦アップ。

なにもなければ、明日も更新予定(フラグになりそうw)。
 翌早朝、朝市集まる者たちに紛れ、スノウたちは都に入った。
「オレたちにとって幸いなのは、見回りの人員はほとんどガリョウ兵だということです。さほど変装に手間をかけなくても、面が割れにくいですから」
 旅装にさえ気をつければ一般民との区別は付けにくくなる。刀剣の類は野盗避けの為、占領下とはいえ、それほど問題視されていない。
 一応反乱軍が活動している影響で、関所などの目は厳しいが、誤魔化しようがないわけではなかった。
 ニッショウの都は平屋か、もしくは二階建ての家屋が主で、城の石垣以外に城壁もない。
 城そのものはさすがに堀に囲まれた堅牢な造りをしているが、町そのもののは、どちらかといえば長閑さを醸し出している。
 都の大通りは、あちこちにガリョウ兵の姿が見えるものの、大通りを使わなくても十分移動はできる。
 将軍職にいる時は守るに難しい町だと思っていたが、潜入する立場になれば逆に有り難い。
 都入りの緊張がややほぐれる頃に、スノウたちは大通りを数本外れた通りにある旅籠に辿り着いた。
「いるか」
 タカオが入り口で声を掛けると、主人らしい壮年の男が応対に出てくる。タカオは男に短く尋ねた。
「はい。……そちらは?」
 男の答えも、客商売とは思えないほど短く簡潔で、慎重な視線をスノウに注いでいる。
「オレが探していた方だ。そう言えば判る。取り次いでくれ」
「少々お待ちを」
 軍人同士のような殺伐としたやりとりを終え、男が正面の大きな階段を上っていった。
 しばらく待っていると、戻ってきた男はスノウたちの前に両膝揃えて、両手をつく。
「失礼致しました。今足湯を用意させますので、終わりましたら、どうぞ二階へ」
 そう言って、控えていた女中に指示を出し、自らは奥へと戻っていった。
「見覚えはないが、ただの町人ではないな?」
 男の立ち振る舞いを観察していたスノウが小声で確認すると、タカオが頷く。
「はい、王家に協力していた諜報組織の幹部です。登城したことはないでしょうから、スノウ様は見たことがないでしょう」
「そうか」
 スノウもその組織の長とは何度か話をしたことがある。なんでも王家と同じかそれ以上の歴史を誇る組織とのことだが、何度か国政上の協力を要請し、また何度か便宜を求められることもあった。
 国の一部ではなく、あくまで協力者という立場を崩さない、得体の知れない組織である。利害がぶつからなければ、ニッショウへの協力は惜しまない、というのが長の言ではあったが。
「ここで働いている者は、みなその手の者たちです」
 タカオが言うように、桶に湯を用意してくれた女中たちも、その立ち居振る舞いを注意深く見れば、明らかにある種の訓練を受けた者のようだった。
 旅装を解き、埃を落としたスノウは階段を上り、タカオの先導に従って一番奥の部屋へ入る。
「将軍……!」
 スノウが部屋に入った途端、腰を浮かしたのはガラン。他に二人いた者も一様に驚いた表情を浮かべた。その二人もスノウは見覚えがある。確か片方は近衛のショウヘイ、もう一人は名前を知らないがエンショウの近衛だったはずだ。
「生きておられたのですね!」
 ガランたちの顔に浮かんでいる喜びの表情は、心底からのものだった。
 慌てて上座を譲ろうとしたガランを手で制して、スノウは刀を鞘ごと腰から抜いて正座すると言った。
「俺はもう将軍ではない。ここにきたのは、お前たちに協力する為と、もう一つは個人的な理由によってだ。今後に関しては、ガランの指示に従わせてもらう。それでいいだろうか?」
 再会の喜びに浸る間もなく、それだけは先にはっきりと言っておかねばならないと思ったスノウは、率直に口にする。
 再会の喜びに水を差される形にもなったガランは、複雑な表情を浮かべながら言葉を返す。
「そんな……。将軍が生きていたとなれば、皆の士気も上がるでしょうに」
「いや、必要であれば、俺を担ぐのは構わんのだ。タカオから聞いたが、今皆をまとめているのは、お前だそうだな? そのままお前が皆をとりまとめてくれということだ」
「それは……。構わないのですか?」
「ああ。少なくとも、今の俺には感情を殺して、判断なり指揮なりをする自信はない。それに、人を使うことにかけては、お前の方が俺より巧い」
「そのように過分な評価をいただくのは、汗顔の至りですか……」
 居心地悪そうに身を縮めるガランに、スノウは笑顔を見せた。
「もちろん、望まれればいくらでも助言はする。協力は惜しまん」
しばらくガランと他二人は顔を見合わせていたが、やがて頷き合うと、ガランがスノウに向かって口を開く。
「とりあえずは、了解しました。状況に変化がない限りは、将軍のおっしゃるとおりにしましょう。ただ、今後もしも状況が変わるようでしたら……」
「そうだな、その時は俺も考えよう」
「お願い致します」
 その後、名を知らない元エンショウの部下・ドウジの紹介を受け、話は現状の確認となった。

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