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「乾いた掌」10

深刻なモチベーション不足。

もっとコミュニティやサイトなんかを利用すべきなのかもしれませんが…。

基本的に怠惰な癖に、せっかちな性格なので、ニンともカンとも(´・ω・`)

他人様に感想をもらうって大変なことだと思うし

どんな意見でも言ってくれるってのは、有り難いことなんだよなぁ。

とか愚痴る。

「一言添えなくてはいられないような物」を書けない自分の責任なんですがねw

ふぅ(◞‸◟)
「落ち武者狩りだよ!」
 それを聞いた途端、ケイの顔色が変わった。
「スノウさん、隠れて!」
 スノウが驚く程の剣幕で部屋の押し入れを開け、入るようにうながす。
「落ち武者狩りと言ったな? ならば俺がいるのは不都合だろう。すぐにこの家を出れば貴女たちに迷惑は……」
「まだそんなことを言っているのですか!」
 スノウの言葉を叩き斬るような勢いで一喝し、抗えない力でスノウを押し入れへ押し込む。 あっけにとられているスノウへ、ケイは刀とスエを抱かせる。
「ネンジ、他の皆と母屋の方へこもっていなさい。スエ、スノウさんが出てこようとしたら、頑張って止めてね。お願いよ」
 幼いなりに、ケイの切迫した雰囲気を理解したスエは、真剣な表情で首を縦に振った。
「待て……!」
 慌てて押し入れから出ようとするスノウの目の前で、押し入れの戸が音を立てて閉まり、すぐさまそれを開けようとしたスノウの手に、スエがしがみつく。
「む……!」
 無理矢理引きはがすわけにもいかず、躊躇しているうちに、聞き覚えのない男達の声がかすかに聞こえてきた。
「この家の主は、お前か?」
「私でございますが、なにか?」
 ケイが固い声で応じるのが、薄い紙張りの戸越しに届く。
 こうなってしまっては、今出て行けばかえって厄介なことになってしまう。内心ほぞを噛みながら、スノウは息を潜めてやり取りに耳を凝らした。
「ここで、男を匿っていると聞いたが?」
 おそらくはガリョウ兵なのだろうが、野卑さが滲むざらついた声だ。
「知りません。なにかの間違いではありませんか?」
「少し前から、この村で見慣れない男を見かけると聞いて来たんだがな」
「知りません」
 きっぱりとした反論。ほんの少しの間、沈黙が落ちる。
「……ふむ、そうか。知らんのなら仕方がない。時に女」
 ねっとりとしたものが、男の声に混じる。どかどかと、複数人が縁側に上がる音。
「聞けば、女手一つでなにかと苦労しているそうではないか。多くの子供を抱えて生活に追われているとなれば、たまには楽しみでもなければつまらなかろう?」
「なにを……?!」
 布を引き裂く音。
 ケイの短い悲鳴。
「なに、こんなところまで来て、我らも手ぶらで帰るのもつまらんしな。少しお前の相手でもしてやろうかとな。悪いようにはせん。大人しくしていれば命までは取らんし、お前も楽しめよう。ついでに、思い出したことがあればいつでも言うが良い」
 息を飲んだ気配はケイだろう。
 男達がどういう行為に及ぼうとしているのか、スノウにも理解できた。
「押さえろ」
 またケイの悲鳴。
 畳の上で暴れる気配。
 スノウは堪らず飛び出そうとしたが、それを察したスエがまたしてもしがみついてくる。ケイがどういう目に会おうとしているのか理解できないのか、それともただ愚直にケイの頼みを果たそうとしているだけなのか。
 今飛び出せば、スエも巻き込んでしまう。片足が利かなかろうが、雑兵の数人くらいは切り捨てる自信はある。だが、スエやケイを庇ってそれが出来るかは微妙なところだった。
 またも躊躇しているうちに、布を裂く音と悲鳴が上がった。
 スノウの焦燥が跳ね上がった次の瞬間、漂ってきたのは男たちが息を飲む気配。かすかだったが、呻き声までが混じっていた。
 一体何が起きたのか。
 今度こそ飛び出しかけたスノウの耳に、聞き慣れた声が飛び込む。
「おぬしら、なにをしとるんかの?」
「お爺さん!」
 ケイが、悲鳴とも安堵とも取れる、複雑な声を上げる。
 窮地に他人が来てくれた安堵と、危険な場所に知人がやってきてしまったことに対する危機感を同時に感じているのだろう。
「ふむ、軍規でそういう行為は戒められていると聞いておるがな」
 そんなケイをよそに、老人の声には焦りも恐怖も感じられなかった。
「……不審な男を匿っていると聞いたんでな。取り調べよ」
「こちらには、よう顔を出させてもらっておるが、そんな者は知らんの。で、女を何人もで押さえつけて、衣服を剥ぎ取るのが取り調べか?」
「なに、少し口の滑りを良くしてやろうかと思ったのよ。まあ、それも興が削がれたところよ。そうだな、ジジイを痛めつけてやった方が喋りやすいか」
 嫌らしい含み笑いが混じった男の言葉に、ケイが慌てて声を張り上げた。
「お爺さん、逃げて!」
「心配せんで大丈夫じゃ、黙って見とるがええ。わかったな?」
 スノウがびくりと肩を震わせる。最後の一言が、明らかに自分へ向けた言葉だと判ったからだ。その声色は鋭く、同時に不思議な説得力と安心を感じさせるものだった。
「やれ」
 無慈悲に男が言い、複数の罵声と雄叫びが混じった声と男達の足音。
「ほ」
 場違いに気の抜ける老人の声。
 怒号と、人が地面に叩きつけられる幾つかの音。
「な……っ?」
 男の驚愕。
「なに、ひっくり返しただけじゃ。誰一人怪我はさせとらん。これ以上、無体を働かなければ、じゃがな」
「ジジイ! 貴様一体何者だ?!」
「ただの爺じゃよ。今は、な。それよりこの辺の代官、確か今はブショウじゃったな。ワシの覚えておる限り、あやつは数少ない清廉潔白を旨とする男じゃったと思うが?」
「なに?」
「奴がこの話を聞いたら、どう思うかの? このまま引き下がって二度と来なければ、ワシとしても余計な事は言わんつもりじゃが」
「……」
「どうかの?」
「……引き上げるぞ!」
 老人への返事代わりに男が憎々しげに命令すると、幾つかの呻き声を残して男達の気配が遠ざかっていった。
 足音が消えてから充分に時間を置き、スノウは焦る心を抑えながら押し入れの戸を開ける。
「無事か、ケイ殿!」
 両腕で引き裂かれた着物で身体を隠していたケイは、老人に上掛けを借りて身体に巻き付け、少し憔悴した様子だったが、顔を上げてスノウへ微笑むと、足早に母屋へ去っていった。
 その背中を見送って安堵の息を漏らしたスノウの胸に、じわりと後悔が染み出す。
「俺は、なにもできなかった……」
 それどころか、ケイたちの元へ災難を呼び込んだのは自分ではないか。
 うなだれるスノウの顔を、スエが心配そうに覗き込む。
 そのスノウの肩を叩く者がいた。
 顔を上げると、老人がスノウの肩に手を置いたまま、労りの表情を浮かべていた。
「よう、我慢してくれたの」
「……我慢したわけではない」
 苦い顔でスノウは首を横に振る。
「いや、お前さんが出てきたら、それこそ取り返しのつかんことになっとったかもしれん。出しゃばるだけが、出来ることではないからの」
「…………」
 老人は慰めだけでなく、本当にそう思っているのだろうが、それでもスノウの心が晴れることはなかった。

       **********

 もうすぐ梅雨が始まる季節だというのに──いや、かえってそのせいなのか。まばらな雲はあるものの、広がった夜空には星が散りばめられ、満月が天頂にかかろうとしている。
 真夜中。
 離れの縁側で月を見上げているスノウの心は、夜空とは逆に暗雲が広がっていた。
 静まり返った闇の向こうから、蛙の鳴く声だけが聞こえてくる。
 ずっと考えているのは、昼間の一件。
 考えたところでどうにもならない。それは解っているが、目を閉じているといつの間にか脳裏に浮かんできてしまう。
 もう連中が来ることはないだろう、と老人は言っていた。
 ガリョウ兵たちとのやりとりから、ますますその正体が不明になつつ老人だが、本人に説明するつもりが皆無のようなので、無理に問い詰めるわけにもいかない。
 ──やはり、自分はここを出て行くべきではないのか。
 床に入っては起き、また床へ戻るのを繰り返し、同じ思考を転がし続ける。
 そんなことをしながらしばらく時を過ごし、何度目かに床へ戻りかけたスノウは、離れに誰かが近づいて来る気配を感じ、そのまま様子を伺った。
「スノウさん、まだ起きているのですか?」
 母屋方の暗がりから見えたのはケイの姿だ。衿をきっちり合わせた夜着に、両肩へ上着を引っかけている。
 縁側へ座ったまま、スノウは頷いた。
「ああ」

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